星と猫の数学

ローグライクとストラテジーとマイナー志向で黒猫なでなでしたい

異世界君主生活~読書しているだけで国家繁栄~

『隠岐島千景の大いなる野望』の須崎正太郎先生の新刊です。今作は昨今のライトノベルでメジャーとなっている『異世界召喚もの』な一作となっています。小説サイトで公開されているモノも含めて玉石混淆な状況ですが、自分が真面目に最近の異世界ものを読んだのはこれが初になります。

感想

突如異世界に召喚された読書狂の主人公『新堂直人』が、その知識と日本の文化を活かして財政が傾き国力が衰えた国を立て直す、といった内容になっています。

今作の特徴は、終始内政を行っているためほぼ戦闘描写がない事、前作にも見られた『知識を活かし仲間と共に苦難を平和的に乗り越える』事ですね。ストーリー全体の雰囲気も必要以上に暗くなる事もいがみ合う事もなく、紹介にも書かれている『ストレスフリー・ファンタジー』というキャッチコピーにも納得がいきます(トントン拍子で内政が上手くいくという事も指しているとは思いますが)。

かなりの短期間ではあるものの、物語が進むにつれて文化的に国が発展していく様は、ストラテジーゲーム『Civilization』や『Victoria』等を想起させます。武力は犯罪の取り締まりを行うためくらいにしか使われていませんし、個人的には非常に理想的な内政を見た気分です。

一方のキャラクターはというと、さすがに前作ほど強烈なのはいませんがどのキャラもハッキリとした役割を持っており、それぞれが国のために尽力しています。みたらし団子にデ・カルチャー衝撃を覚えて以来日本の食文化に目が無い神官『セリカ』、明朗快活な冒険家の『カイル』、力はあるが魔王と勇者の物語を信じる厨二病『シャナン』、隣国の王女であるロリっ子『クレイン』等々、魅力的なキャラばかり。イラスト担当の狐印先生が描くキャラも過剰にセックスアピールしている事もないので、自分好みです。ありがちな巨乳の域を超えたおっぱいは一人だけで、他は現実的な大きさになっています。実に素晴らしい。 欲を言えば全体的にストーリーが内政描写を多くしていたので、もっと各キャラの活躍が見たかったところです。

それと、大きな苦難が無いのも物足りなさを感じました。ストレスフリーと称しているほどに順調に事が運ぶ分、逆境を打ち破るというカタルシスが無い。これが日常ものであるならそれでもいいのですが、そうではないのでそこが残念です。

しかし逆に言えばストレスフリーなだけサクサクと読めるので、それが長所とも言えます。出来ればこれが続いて、山場を迎えたり各キャラの掘り下げが行われたりすると嬉しいですね。