星と猫の数学

私を退屈から救いに来た、夢のヒーロー

金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿 (2)

1巻に引き続き2巻も読みました。相変わらずの犯人達の苦労と金田一の恐ろしさが(ギャグとして)ひしひしと伝わってくる……!

(以下ネタバレ)

雪夜叉伝説殺人事件

この事件の目玉と言えば、やはり『氷橋』ですね。非常に大掛かりなトリックで準備も大変なものなのですが、その時の苦労がつぶさに描かれていて笑っ……泣けてきました。読者からはかなりツッコまれるトリックではありますが、やっぱり一人で極寒の吹雪の中、アレだけ大掛かりなモノを作るのはキツいですわ。

そしてもう一つの目玉は、この事件で初登場となった明智警視の残念推理。彼を上手く誘導する事が成功の鍵であったものの、所々おかしな方向へと推理を働かせる明智警視は今見ると酷いですね! 最終的には見事に掌の上でダンサブル踊ってくれていました(イメージ映像あり)が、この時の彼は腹筋崩壊レベル別人レベルです。

しかし何とかうまくいったと思ったはずなのに、いくつもの小さなほころび(それも犯人自身のミスはほとんど無い)から金田一が犯人に辿り着いたのは本当に見事。

タロット山荘殺人事件

タロットの見立てをするには、結局フィジカル……!

この事件では金田一を要注意人物と見なし、金田一を殺すという展開がありました。気絶させた金田一を雪山に置き去りにする事で成功したかと思いきや、東大出身の犯人が思いもよらないような方法で凍り付いたリフトを動かしてクマムシみたいな生命力も助けとなって生還するという奇跡を起こしました。まあ、メタ的には主人公が死ぬわけにはいかないですしね。

今回の最大のミスは、金田一を確実に殺さなかった事と東大出身なのにタロットカードの正位置と逆位置を知らなかった事です。後者はデザインが違っていれば別の可能性がありましたが、前者は幾分か慢心があったのかもしれません。

悲恋湖伝説殺人事件

何でもかんでも『S・K』に結びつけるなよ!

この事件は……うん、舞台を用意するための諸々が大変でしたね! 吊り橋を燃やすための遠隔装置どうやって作るの……?や、殺人鬼『ジェイソン』の脱走を告げる嘘ニュースを作ったり、実に面倒くさい。更に招待したはずの人物が見知らぬ野郎金田一を代理に立てていたというハプニングまで発生。

しかしそんな苦労が報われた?のか、天樹征丸トリックの神様に愛されたような絶好の展開から自らを死んだように見せかけるトリックで自由を得て計画を続行しようとしました。ところでこの時の天樹征丸さんはまだ編集者の立場だった気が。ですが結局は金田一に見破られてしまいましたとさ。

ところでこの事件の犯人はとある事情から、インタビューが湖の中に沈んでいく途中で行われていました。確かに死亡扱いにも生存扱いにも出来ないですからね。