星と猫の数学

私を退屈から救いに来た、夢のヒーロー

伊藤潤二『コレクション』 第7話「No022 中古レコード/No038 道のない街」

No022 中古レコード

とあるレコードにまつわる話です。不思議な魅力のあるアカペラが記録されたレコードを友人から盗み、さらに追いかけてきた友人を殺してしまった少女。何とかしてもう一度聞こうと駆け回るものの、どうやら友人も股レコード店から盗んだらしく、更にかけてもらった喫茶店では事情を知る男からも付け狙われ――。

恐怖度は高くないものの、ある物品を中心に人々に不幸が降りかかるのは典型的なホラーのパターンですね。超常的なのはレコードの収録状況や少女が、死んだ直後に歌を歌うという事くらい。ある意味、レコードを聴きたいがために人が死んでも意にも介さないのが異常と言えますが。

No038 道のない街

どういうわけか家族に部屋を覗かれている少女の話。その家族も白々しく「覗いていない」と言い張り、嫌になった少女は街を出て叔母のところに向かおうとするも、どういうわけか道が木造の建物に塞がれている状況。しかもその建物の周辺や内部は仮面を付けた人々がうろつき、内部は通行人が平気で家の中を通るという始末。

叔母はプライバシーが無くなったからと逆に開放的になった事で吹っ切れていましたが、プライバシーが無いというのはそれだけで極度のストレスになります。だからこそ主人公の少女は家出をしたのですが、頼みの綱も同じだったら元も子もないですね。

……ところで、ラストで建物から抜け出すために叔母が「上流へ向かいなさい」って言っていましたが、少女が向かったのは川の流れの向きからし下流に見えたのですが……。