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星と猫の数学

ローグライクとストラテジーとマイナー志向で黒猫なでなでしたい

ふぉーくーるあふたー

小説

ふぉーくーるあふたー (ガガガ文庫)

ふぉーくーるあふたー (ガガガ文庫)

『俺、ツインテールになります。』の水沢夢先生の新作です。

ストーリー感想

『魔星少女リフレイア』の『レイアーソル』として一年間、侵略者と戦ってきた主人公『星上陽奈』が、全てを終えて引退するはずだったのに、力を与えてくれたUMAの『ウマちゃん』から「実は今までの戦いをテレビ番組として自分の星で放送したが、あまりにも不人気だったため二年目で起死回生を図る」と言われ、後継者探しおよび育成を行う事になった、という話です。

(戦う)魔法少女の要素を随所に持っていますが、どちらかというとストーリーラインはヒーロー番組に沿っています。妖精ポジションには宇宙人がいますし、敵は侵略者ですがファンタジー要素はほぼ皆無ですし、後継者に課す特訓なんかはモロに昭和のヒーローそのものですし。だがそれがいい

そしてこの作品の特徴は、上記の通り『主人公の戦いがテレビ番組として放送されている』という、メタフィクショナルな要素が含まれている事です。しかも不人気という扱いであり、そうなった原因が「主人公があまりにも強すぎて販促しなければならないアイテムをことごとく使わず、徒手空拳かつ瞬殺してきた」という所にあるのが酷い(褒め言葉)。確かに、売らなければいけない玩具を使わずに、しかも戦いがすぐに終わってしまう様な作品だとつまらないですからね。

しかし世知辛いネタでも水沢先生の持ち味である「強烈すぎる個性を持ったキャラクターによるハイテンションな駆け引き」があるおかげで、ひたすら笑いに昇華されていって終始楽しめました。

それでいて終盤の決戦シーンは俺ツイと同様に熱く、ヒーローものが大好きな自分にとってはドストライクど真ん中! 馬鹿みたいな事をやっていても、ヒーローものとしての芯がぶれてないので非常に好印象です。

キャラクター感想

俺ツイと同様に、主人公を含めほとんどのキャラクターが強烈な個性を持ち、最初から最後までハイテンションに漫才をしているかのような激しく楽しい駆け引きを行っているので、飽きる事なく一気に突っ走って読む事が出来ました。

主人公は某ブルーみたいに徒手空拳の戦闘スタイルで腕力は最強を誇り、更に貧ny慎ましやかな胸をコンプレックスにしています。が、それだけでなく、無類のUMA好きという側面があり、その(過剰な)愛情はウマちゃんに思い切り向けられています。初っぱなから彼を○○○○扱いして過剰なスキンシップを行う主人公なんて見た事がない。

そんな主人公さえもツッコミに回る後輩『地平遥』の明朗快活なレズビアンストーカーぶりや、主人公が趣味的にイチ押しの後継者候補、顔と身体が不一致な敵組織、更に敵組織のオブザーバー的な存在で『××(笑)』の『カラミティーサタン』等、登場キャラは一度見たら忘れられないインパクトの持ち主ばかり。一人だけ活躍の場が少なかったので他の濃さに押された子がいますが、もしこの作品が続けばきっと彼女達に負けない活躍を見せてくれるでしょう。

忘れてはいけないのが、力を与えた張本人で『番組』の仕掛け人でもある『ウマちゃん』。彼は劇中で一番の常識人であり、俺ツイを含めてもアレっぷりがほとんどない珍しいキャラクターです(ただし宇宙人で見た目はウマのぬいぐるみ)。そのために最もツッコミ役に回る事が多く、下手したらそっち方面で過労死するんじゃないかというレベルで奮闘します。主人公が過剰に愛情表現を出してくるものだから、その苦労はお察し。

まとめ

この他にも、俺ツイ同様かなり細かく作られたアイテムの設定や、明示もわかりやすい暗示もしていないものの俺ツイに絡んだネタなど俺ツイ読者がより楽しめる要素もあります。もちろん、俺ツイを読んだ人だけがニヤリと出来る程度で、俺ツイを読んでいなくても全く問題ありません。

この一作だけでもまとまってはいますが、今後の展開を想像させるネタも仕込まれているので、続刊したら是非読んでいきたいですね。そしていつかは俺ツイとクロスオーバーを!