十行小説 「幸運」
メールが届いた。私はそれに驚き困惑し、確認した後に再度テレビを見て恐怖した。
私は携帯電話を二つ所持している。一つは連絡や交友用の携帯電話で、もう一つは『とある噂』の検証のためについ先日新しく契約したものだ。
『とある噂』とは口コミのみで静かに広がっている噂の事で、「誰にも連絡先を一切教えていない携帯電話にとあるアプリを一つだけインストールし、一週間そのままにしておくと幸運が訪れる」という都市伝説だ。
手間もお金もかかるようなこんな事を試す人など、物好き以外にはいないだろう。だが私はその物好きであり、そして『幸運』が欲しかった人物であった。
だが私が望んだ『幸運』はこれではない。テレビは私から恋人を奪った女が電車にひかれて死亡した事、暗号の様な文章がその場に残されていた事を告げるニュースを告げている。その暗号の様な文章は、先程着信したメールにも全く同じものが書かれていた。
お題
「メールの着信」
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お題はここから頂きました。